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三国恋戦記二次創作/初来訪の方はaboutをご一読ください
No.
2024/11/24 (Sun) 08:50:19

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No.196
2012/11/11 (Sun) 23:59:59

3階/お 38


【新刊】
銀糸に絡む金の月  オフ一色/A5/36P ¥400
公花。自分がいじめるのは構わないけれど他人には許さないひとだと思われ(※公瑾が)。ちょっとウダウダしているかもしれません。

【既刊】
零陵香     (玄花)コピー/A5/28P ¥300
碧瑠璃の波紋(公花)コピー/A5/48P ¥500
ギョウに泣く雀(文花?)コピー/A5/32P ¥300
磐長哀話   (花孔明)コピー/A5/48P ¥500
藍より青し   (孔花) コピー/B6/24P ¥100
花に嵐     (文花)オフ一色/A5/28p ¥200


既刊の本文サンプルは、これこれこれこれをご参照ください。
新刊サンプルはたたみます。どうぞよしなに。



【銀糸絡まる金の月】  公*花


 部屋から出た花は、うららかな日和のもとで背伸びをした。回廊の欄干で身体を押さえながら腕を目いっぱい伸ばしたあとで、大きく口を開いてあくびをする。しっかりと睡眠はとれているはずなのに眠気は未だ残っていて、疲れているのかなどと一端の考えがよぎった。
「まったく……。少しは人目を考えて憚りなさい」
「え……こ、公瑾さん!」
 ひとが近づいてくる気配や沓音などまったくなかったし気づかなかった。呆れたようにため息をつく公瑾を見て、花は瞬時に肩をすくめた。顔が熱くなっているのできっと赤くなっているに違いない。何とも恥ずかしい場面を見られたものだ。
 足音も静かに花の傍らまでやってくると、公瑾はこれみよがしに嘆息してみせた。
「女人がこのようなところで大口を開けて、それを隠しもしないとは」
「……すみません」
「私に謝られても困ります」
 即座に公瑾から切り捨てられ、花はますます身体を縮こまらせた。羞恥のあまり彼の顔を見ることもできず、気持ちが落ち込んでいくのと同じように頭がさらに下がっていく。足下ばかり見ていたってどうしようもないことなどわかっているのに、上げることなどできるはずもない。
「花殿」
 気落ちしている姿にやさしく呼びかけても、彼女は岩にでも なってしまったかのように動かなくなった。公瑾は片目を眇めて小さく息を吐く。たとえ恋しいひとだとて、旋毛ばかり眺めさせられても面白くもなんともない。――こうなってしまったのは自身の言葉のせいであるのだけれど。
 公瑾が腕を上げると清涼な香りが漂った。それが近くなると、彼は袖口からわずかにだけ覗かせた指で頤に触れる。軽く持ち上げるように花の顔を上げさせると、一瞬だけ目があった。しかし、花はすぐさま視線を逸らしてしまう。
 気まずさがありありと現れている横顔に苦笑し、公瑾は触れていた指を離した。花はそっぽを向きながらも、横目でちらりと彼の様子を窺う。
「眠れていないのですか?」
「……いえ、ちゃんと寝ました」
「では、寝過ぎたのですね」
 公瑾は憎たらしいほどの笑顔でそう断じた。
 情も細やかに、ひたすら甘やかしてくれることを望んでいるわけではないのだけれど、どうしてもまだこういう意地の悪さのほうが際立って感じられる。
 このひとは本当に恋人なのかしらと胸に疑問が生じた花は、覚えず口先を尖らせた。
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