ということで、丞相も小さくしてみました。三度、科白のみの遣り取りのブツでございます。
見た目はチビっ子、中身は、……あまり大差ないような気も。
不得手な方は全力で自衛をお願いします。
真面目?な小話は明日くらいに1本投げ込みます。
都督VS花孔明の予定です。特に目立った対決はしていませんけども。
「はーなーちゃん!」
「きゃっ! ――孟徳さんってば、驚かさないでください! いきなり足に飛びつくなんて危ないじゃないですか」
「ああ、ごめんね。いつもみたいにこう、ぎゅーっとだきしめてあげたいのはやまやまなんだけど、いまのおれにはこれがせいいっぱいだからさ」
「誰もそんなこと言ってません。……もう。怪我しちゃったらどうするんです」
「そのときには、はなちゃんがかいほうしてくれるんでしょ?」
「そういう悪い子は、元譲さんにお願いして引き取ってもらいます」
「ええー!? やだよそんなの! あんなむさくるしいやつにてあてされるなんてきずがあっかする!」
(こうやって駄々をこねてると本当の子どもに見えて困っちゃうな……)
「それじゃ、怪我をしないようにしましょうね。それより、珍しく廊下を走ったりして、私に何か用事がありましたか?」
「ようじってほどじゃないけど、しばらくへやにこもりっきりだったでしょ? はなちゃんのことをみかけてうれしくなっちゃったんだ。しばらくいっしょにいられなかったし」
「……すみません。理由がわからないから、はっきりするまでは離れていたほうがいいってお医者さんと文若さんに言われてしまって」
「うん、きいてる。おれもはなちゃんになにかあったらいやだし。おれみたいにちいさくなるのは、それはもうかわいくてかわいくてしかたないんだろうけど、それはおれがもとのままのときになってほしいし」
「……はあ……」
「そういえば、ぶんじゃくをてつだってあちこちはしりまわっているんだってね。ありがとう」
「いえ、お礼を言われるほどのことは出来てませんから」
「じぶんのべんきょうじかんをへらして、じいのところやしょこでいろいろしらべてくれていることもしっているよ。かんしゃしてもしたりないくらいだ」
「孟徳さん……」
(小さくなっちゃって大変なのに、……やっぱりやさしいところは変わらないんだなぁ)
「がんばるきみはとてもすてきだけど、つかれたらちゃんとやすむこと。ぶんじゃくみたいにみけんのしわがじょうたいになったらたいへんだ」
「またそんなことを言って」
「あいつのめのほそさとしわはいつものことだから」
「もう……。それよりいいんですか? 部屋からいなくなったことがわかっちゃったらまたお説教されちゃいますよ?」
「うーん、それもめんどうだけど、はなちゃんにあえなくなるのはいやだなぁ」
「お見舞に行きますから、今は戻りましょう?」
「…………へやまでつれていってくれる?」
「はい。一緒に行きます」
「しかたない、いまはこれでがまんするか。あ、そうだ。はなちゃん、おれのことだっこしてくれる? そのほうがはやくもどれるし、ぶんじゃくにみつかるかのうせいがひくくなる」
(……眼が輝いてる……けど、まあ、歩幅がずいぶん変わっちゃってるし、しかたないか)
「いいですよ」
「やったー! ……んー、いいかおりがする」
「――孟徳さん、ええと、そこ、胸……」
「やっぱりはなちゃんとはなれるのはいやだなぁ」
「……あの、孟徳さん」
「あったかいしやわらかいし。やっぱりだかれるならおとこよりおんなのこのほうがだんぜんいいなぁ」
「……見た目はずいぶん変わってしまったのに、中身は大きいときと変わらないんですね……」
「うん? そうだねぇ。ちいさくなったふべんいがいはとくにこまらないかなぁ」
「失礼します」
「おおっと。はなちゃん、いがいにちからもちだね」
「孟徳さんくらいの子どもならわけないです。さて、行きましょうか」
「うん、ありがとう。……あれ? はなちゃん、みちをまちがえてるよ。そっちは」
「中身が変わらないのなら、お仕事も変わらずに出来ますよね?」
「まあ、それはそうなんだけど、……はなちゃん、まさか」
「一緒に文若さんのところへ行きましょうね」
「いや、あの、ごめんって! ただでさえおとことふたりでへやにこもるなんてひどいくぎょうだからにげてきたっていうのに――」
「3時にはお茶とお菓子を持って様子を見に行きますから、いい子はお仕事しましょうね」
「は、はなちゃーん!」