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三国恋戦記二次創作/初来訪の方はaboutをご一読ください
No.
2024/11/24 (Sun) 12:35:04

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No.22
2010/06/20 (Sun) 23:44:51

都督4位入賞お疲れ様(?)的な公花で。
花とはちっとも絡んでいないのでまったく労っちゃいません。さらにいつもより短め。酷い。

以前遊んでくれた友人が借してくれた本で1冊、魯子敬さん主役の漫画があったのですよ。
横山版の魯粛、恋戦記のふぉふぉふぉ子敬さんとは方向の違う、ワイルドな魯子敬さんに描かれていて、見方の変わった呉の見方がまた変わったという。都督も美人だったし。
でもまあ、策兄の呉ネックレスがある限り、恋戦記ではわくわく呉ランドの見方は変わる前の見方になっちょるわけですが。(笑)
恋戦記を薦めたときに断金断金言った人がいたので、伯符にせめてもの顔グラがついていればなあ……。うむ残念。




離れた回廊の曲がり角で、慌てふためいた花と、のんびりした子敬が会話しているのを発見した。
目を眇めてしばらく様子を窺っていると、彼女は子敬に頭を下げ、髪を振り乱してその場を走り去っていった。
「……子敬殿」
「おやおや。今し方、花殿がいらっしゃったのですが」
「ええ、拝見していました。いったい何をもってあのように慌てていたのです」
子敬は柔和な笑みを浮かべ、無表情の公瑾を見上げた。
「ふぉっふぉっふぉっ。私なぞに妬いておるより、急ぎ花殿をお助け参らせませ」
朗らかな笑い声に、珍しく朝服を纏った公瑾がむっと眉間にしわを寄せ、ひきつりそうになった口元を袖で覆い隠した。
「花は貴殿に助力を請うたのでは?」
「私の手には余ることでしたのでな。尚香様の元へ参られることをお薦めしました」
主君の妹君まで巻き込むのか。
公瑾の眉間の皺が深くなる一方、子敬の笑みはいっそ憎たらしいほど変化のない穏やかなものだ。
その能力を買って呉侯へ推挙したのは己だが、このつかみどころのなさを見せつけられると、多少後悔の念がわいてしまう。
「美周郎の良人ともなると、いろいろ大変ですなあ」
「そのようなことを問うてはいません。――子敬殿、尚香様にご迷惑がかかる前に」
開いているのか閉じているのか、双方の細まった目からの視線がぶつかり合い、苛立ちに公瑾の声音が低くなった、そんな時だった。
騒々しい複数の足音が回廊を反響して彼らの耳にたどり着く。遠くから近くへ、その原因とともに側までやってくると、二人はつきあわせていた顔を逸らした。
「ま、まあ、公瑾様」
「侍人たるものが裾を乱して何事ですか。はしたない」
鋭利にして冷徹な視線が侍女たちを見据え、彼女たちはばつの悪さに目線をわずかに下げて彼らに伏した。
「申し訳ございません。公瑾様が憂うるような事態ではございませんので、どうぞご案じ召されますな。……ときに、花様がいずこへ参られましたかご存じありませんか?」
「花が何かしましたか? 彼女が無礼を働いたのなら、私の監督不行届きです。詳細を教えてもらいましょう」
「い、いいええ、そういう訳ではけして」
「花殿でしたら、約束があるとかで、これから城下へ向かわれるそうですぞ」
公瑾が纏う不穏な空気をまるで見えぬが如くに、子敬はことさら暢気な口調で侍女に告げた。
とたんに不機嫌を露わにし、ふぉふぉと笑う子敬を睨む公瑾を前にして恐れをなした侍女たちは形を取り繕って子敬へ礼を述べると、公瑾の目に留まらぬようにしてそそくさとその場を去っていった。


異国の少女が目に留まった――。
散々に焦らされたのちに子敬の口からこぼれたのはそんな噂話のことだった。
公瑾にまとわりついていた女たちは、花は自分たちと異なって物珍しいから周郎の手が付いたのだと思っている、らしい。
「先程のものたちは、花殿の真似でもして、公瑾殿の気を引こうと必死なのでしょうなあ」
おっとりといつもの笑い声を放った子敬とはそこで別れた。遠のいていく小さな姿をいつにも増した刺々しい視線でもって眺めやってから、公瑾も自身の執務室へと向かうことにした。
それにしても愚かしい。回廊を進みながら公瑾はため息をつく。珍しいだけで女を囲うなんて一族が黙ってはいない。もしそんな性質だと思われているのなら憤飯物だ。
周公瑾そのものを見ることはない女たちに目をかけることはけしてない。それを解した上で接したとしても、やはりそういう対象としてとらえることはないだろう。
想いを寄せ、一生を添いたいと願い手折った一輪が在る限り、隙間空白は存在せず、また余分は不要でしかない。
花だから望んだ。――彼女をこそ望んだ。
ひとつしかないこころには、すでに花のこころがある。それがすべてだ。
知れず笑みを浮かべて歩んでいるうちに執務室へと到着するも、扉へ手をかけた刹那に違和感を得た。なぜと自問するが明確な理由は不明だ。しかし普段と違うということだけはわかる。
公瑾は思わず口端を上げた。
「……最初からここへ逃れて来れば良いものを」
さて、子敬との遣り取りを問い詰めたらば、彼女はどんな言い訳を聞かせてくれるのだろう。
公瑾は薄い口唇に不穏な笑みを刻み込み、部屋の奥で縮こまる小さな気配を捕らえるべく入室し、まるで外界からその空間だけを隔離するように素早く扉を閉じた。

 

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