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三国恋戦記二次創作/初来訪の方はaboutをご一読ください
No.
2024/11/24 (Sun) 08:54:49

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No.106
2011/05/03 (Tue) 23:59:59

※5/3までこの記事を頭に上げます※

東5ホール に 5a

【 新刊 】
ギョウに泣く雀  コピー/A5/32P ¥300
外見は子ども、中身は大人、な文若さんの話。
「ギョウに~」及び「夕べに~」の台詞のみだった2本に地文、前後にあれこれ加筆して、最後は大人に戻しました。ヤマがなければオチもないので、あらゆる意味でこころの広い方向け。
札にも記しますが、こういった内容が苦手な方はお気をつけください。

花舞宴  コピー/A5/8P 無料配布
花の誕生日をネタにしたお約束のような公花。前回の文花のようにペラッペラです。

【 既刊 】
・「零陵香」  玄花 ¥300 (コピー/A5/28P)
・「碧瑠璃の波紋」 公花 ¥500 (コピー/A5/48P)

以上、確定です。どうぞよしなに。



 花は回廊を進みながら、庭に向かって声を投げてみる。声量は、通常時に彼と会話するくらいのものだ。大声で叫びでもしない限り隣近所に迷惑がかかることはないだろうが、万一を考えればこれくらい慎重であってもよかろう。
「文若さーん? どこへ行っちゃったんですかー?」
「――な! はなっ!」
 向かい側から文若少年が駆けてきた。彼が走っている姿など初めて見たけれど、花は珍しい光景に胸をときめかせるより先に行方を眩ましていたことに意識が向いた。
「もう、どこへ行ってたんですか? 時間を守れっていつもうるさく怒るのは文若さんのほうなのに。……朝ご飯の用意が出来たそうですから」
「のんきにそのようなことをいっているばあいではない! はやくわたしをかかえあげろ!」
 足元の文若は、背後を気にしながら花に向かって両腕を伸ばした。彼の焦り具合も、これまた今までに見たことがない。花はその様子に首を傾げかけたが、聞こえてくる小さな音になるほどと笑って膝を曲げた。
 すっかり軽くなってしまった文若を抱きあげ、彼より遅れて足下に来た小さな存在を覗いた。愛猫は尻尾を振りながら前足を花の足へ伸ばし、安全地帯に逃げた文若を見上げて鳴く。
「お痛は駄目。文若さんは小さくなっちゃったんだから、いつもみたいにかまってあげられないの。手加減してあげなきゃ、文若さんが怪我しちゃうでしょ?」
「はな!」
「……耳元で怒鳴らないでください。さ、遊ぶのはあとにして、厨房でご飯をもらっておいで」
 花がそう言うと、切なそうにひと声鳴いてから足を地に戻した。諦めきれないのか、幾度か足に頭をこすり付けてうろうろしていたのだが、願いは叶わぬと知ると、一度だけ花の腕の中にいる文若を睨むかのように振り仰いでからその場を去った。ゆっくりと回廊を歩いていく姿を眺めていた文若がため息をこぼす。
「だれもあそんでなどおらぬ」
「そうですか? 追いかけっこをしていたようにしか見えませんでしたけど」
 小さな手を肩にやり、文若は若き妻の目前でため息をついてみせた。外見に見合わぬ重々しさにかつての姿が重 なって見えるのは不可思議なようであり、妙に複雑な気分にさせられる。
「あれがわたしにのしかかってくるからにげてきたのだ。そうしたらあのようにおいかけてきた。……わらうな。あやうくつぶされるところだったのだぞ」
 目覚めたら花はいなかった。うつ伏せのまま呆けていたら背中に呼吸の邪魔になる妙な重みを感じたので、首だけ捻ってその正体を確認する。案の定、三毛猫がしっかりと背に座っていたのだ。それを払い除けるように掛布をめ くって起き上がり、苦労して沓を履いて寝台から離れると、それは文若を真似るように寝台からしなやかに飛び降りて後を追ってきた。夜着に爪を引っ掛けたり、歩みを邪魔して足下をうろうろしたりするので回廊を小走りで駆け抜けて庭に下りる。踏みつけるのはかまわないが、踏みつけられるのは勘弁ならぬ。そうして処構わずあちこちに 行っていたら、花が迎えに来たのである。

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