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三国恋戦記二次創作/初来訪の方はaboutをご一読ください
No.
2024/11/24 (Sun) 10:33:45

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No.10
2010/05/29 (Sat) 00:34:08

間に合わなかった。日付超えてしもうた……。
今回は魏トリオです。
丞相がマダオです。(変えられない)
元譲さんは通常仕様です。(ポジション的に)
文若さんはいつもどおりです。(変わらない)
そんな感じ。

ノリ的に「繚乱~」っぽいギャグだと思います。要するに、心の広い方向け、ってことです。

 




孟徳の執務室には沈黙が鎮座していた。部屋の主は肘を付いた手で顔半分を隠している。
現れている双眸はやや鋭く、眼前の部下二人をとらえていた。
「話がある」
「どうぞ」
「早く言え」
にべもない応えに、思わず孟徳の口端が引き攣った。
「……お前ら、俺を誰だと思ってるんだ」
「孟徳、いいか、俺も文若も暇ではないんだぞ」
「丞相からのお呼び立てでしたので、中軍師との合議を後回しにして御前へ参ったのですが、何か御不満がおありですか」
「……まあいい。話というのは他でもない、花ちゃんのことだ」
その名が孟徳の口からこぼれ落ちた瞬間、二人の表情が変わった。
眉間に皺を軽く寄せた文若の眼は眇められ、元譲は髭のある顎をさすってわずかに首を傾いだ。
「花の……?」
「花がどうかしたのか」
「それだ!」
「……は?」
「何だ突然」
「突然じゃない! ――いいか、俺は彼女のことを「花ちゃん」って呼んでいるのに、何でお前たちはあの娘のことを呼び捨てにしているんだ! ずるいじゃないか!!」
声を大にして配下に加わったばかりの少女のことを叫び、火傷痕の残る手のひらで卓を思い切り叩く。しかし内容は至って幼い童子のような駄々。
孟徳の勢いに一瞬は怯んだものの、次の瞬間には盛大なため息が二つ同時に足下へ落ちた。
瞑目して額を押さえる文若、何とも渋い表情の元譲を、孟徳は厳しい視線で見据える。
「……孟徳、あのな」
「我々はそのようなくだらないことで呼び出されたのですか……」
「いいや、ちっともくだらないことなんかじゃない! 俺が可哀想だと思わないのか!」
「思わん。大体そんなことを言うのなら、お前も好きに呼べばいいじゃないか」
「左様。私たちのことを鑑みれば如何様にも出来ることかと。あの娘は丞相からどのように呼ばれようと気にはしないでしょう」
「ずいぶん花ちゃんのことを知っているような口利きをするな? 文若」
「あれほど単純でわかりやすい娘などいません。……話が以上でしたら私は先に失礼させていただきたく思います。あとのことは元譲殿と相談なされませ」
「いや待て文若、俺に押し付けられても困る」
「丞相の戯れに付き合っていては執務が滞ります。花にもいくつか仕事を任せているので、その確認も取らねばなりません。それでは」
合わせた袖口を高々と上げて礼を取ると、文若は颯爽と衣の裾をはためかせて出て行ってしまった。元譲の、一縷の望みをかけて伸ばした手は虚空を掴む。
背後からは、不思議と冷たいものが漂ってきていて、剛胆な将軍の肝を寒からしめた。何だかんだいってもつき合いは長い。ゆえに彼の機嫌が如何程に傾いているかがわかってしまうのが少しだけ悲しかった。
「……元譲、お前は――わかっているだろうな?」
「勝手に何とでも呼べばいいだろう! 俺ももう行かせてもらうぞ。仕事が残っているんだ」
「見苦しい言い訳なんて聞きたくない。それに、お前みたいなむさ苦しい奴に仕事なんてあるか!」
「為すべきことに外見は関係ない!」
「ある! 只でさえ潤いがないっていうのに、むさ苦しい奴らがそれこそあちこちでやれ鍛練だの修練だのと動き回られたら余計暑苦しくなるだろう! そんなのは出兵したときだけで充分だ!」
怒号飛び交う部屋の外では、護衛にあたっていた兵が、孟徳に面会を求めてやってきた官吏や武将への説明に悪戦苦闘していた。


「……あのぉ、文若様。先程から、丞相閣下に面会がかなわず、危急の案件の決が頂戴できぬと申すものたちが溢れかえっているのですが、如何いたしましょう……?」
――数刻後、文若の下へは丞相に会えぬと救済を求める書簡を抱えた多数の官吏が行列をなし、とっぷりと夜が更けるまで花はその整理に追われた。




(オマケ。)
「あの、孟徳さん? 私は別に孟徳さんに名前を呼び捨てされても怒ったりしませんよ?」
「……」
「わ、私の友達もみんな「花」って呼んでましたし!」
「…………俺は花ちゃんにとって友達なの?」
「え? えっ、と、……あ、そうですよね。孟徳さんは文若さんの上司で、私は部下の部下なんですから失礼ですよね……すみません」
「いや、そういう意味じゃなくてね」
「――そうだ! あの、玄徳さんは最初から呼び捨てでした! 雲長さんや翼徳さんも! ですから、孟徳さんも気にしないで、遠慮なく呼んでください!」
「………………花ちゃん、わかってて言ってる……?」



(花一華=アネモネ=はかない恋。薄れゆく希望)
 

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